Ultimate7月8日号

その勢いは止まらない

青木唯プロ、JBマスターズ第3戦、三瀬谷ダムで大逆転優勝!!

これでJB戦3連勝!!

山下尚輝プロも3位入賞!!

  • 優勝の瞬間はシビレました

 その勢いは、まさに飛ぶ鳥を落とす迫力。誰にも快進撃は止められない......。7月2日、3日の両日、三重県の三瀬谷ダムで開催されたJBマスターズ第3戦の結果を知った方々は、おそらくそのような印象を持たれたことでしょう。青木唯プロの優勝はそれほど衝撃的でした。

thumbnail_2022.7.8.1.jpg

マスターズで前回の準優勝に続き優勝。これでJBトーナメント3連勝という偉業を打ち立てました

 既報の通り、青木プロは6月18日に行われたJBⅡ河口湖、翌19日に行われたJB河口湖A第2戦において連続優勝。河口湖Aに関しても2連勝ということで、どこまでこの快進撃が続くのか、周囲はカタズを飲んで注目していたわけですが、今回のマスターズでも優勝ということで、あらためてその破壊的な勢いに圧倒されました。

 期せずしてフィールドは青木プロの得意なクリアウォーター。勝っても何の不思議もない状況ではありました。こう書くと、青木プロの優勝は安定した横綱相撲の結果と捉えられるかもしれませんが、今回ばかりはかなり苦労したようです。逆にいえば、苦しかっただけにこの勝利の価値が増すというもの。厳しい試合で勝ってこそ、トーナメントアングラーの真の実力が証明されるからです。

 フィールドの全体状況としては、ダム湖にありがちなムラの激しい釣れ方。魚のサイズは平均して小さく、ハイクオリティな魚を釣らないと成績は平凡なものに終わってしまいます。直前に水温が一気に5℃上がり、魚が上流へ差してくることが予想されるなか、多くの選手が上流や最上流を勝負エリアに考えていました。ですが今回はエレキ戦(※ボートの動力がエレクトリックモーターに限定された試合)。最上流まで遡ると帰りが大変です。ですから時間配分も重要でした。

 そんな試合で青木プロは1日目3尾・1894gで13位発進。試合前には「勝つつもりでゲームに臨みました。厳しいとは予想していましたが、勝てなくはない、そんな感じでした」と語っていた青木プロでしたので、1日目の結果には「ビッグフィッシュが見当たらなくなって、困りました」と若干落胆していました。

 さすがに今回、優勝は厳しいか、と思われた青木プロですが、本人は

「過去の三瀬谷戦のデータを調べたら、(1日目が)このくらいの成績でもマクって勝った人がいたので、まだまだチャンスはあると前向きになれました」

 と勝利へのモチベーションを維持。こうして立て直せる精神力の強さも、青木プロの能力と言えます。

thumbnail_2022.7.8.2.jpg

1日目は13位発進。「でも過去にはこの位置からマクった選手もいたので、まだまだチャンスはあると思っていました」(青木プロ)

 そして2日目はご存知のように5尾・2788gを持ち込み、逆転優勝。本人も発表されるまで「どうかな」と不安だったようで、それだけに優勝が決まった瞬間は思わず雄叫びを上げたそうです。

  • ライブスコープの釣りに一日の長あり

 青木プロは2日間を通して得意のライブスコープの釣りを展開しました。しかし、そこには三瀬谷ダムならではのキモがありました。

 というのは、三瀬谷ダムにはワカサギがいないので、それを追って沖を遊弋するバスは少ない。しかし、その数少ない沖のバスはサイズがいいのです。それを狙いたくなるが、選手たちの考えることは同じなので、沖のバスはフォールするルアーを見ただけで逃げるほどハイプレッシャーが掛かった状態。ライブスコープを当ててもすぐに動かれてしまう。そんな激ムズな状況でした。

 そこで青木プロは、ライブスコープの運用を工夫しました。ギリギリまで距離を取ってライブスコープにバスを映し、その魚の移動を予測して、動く先にあらかじめリグを置いておく。そうすることで、警戒心が強い沖のバスに口を使わせたのです。この釣りにはもう一つ大きなメリットがあります。それは、ライブスコープに映すことで、ねらうバスのサイズをある程度把握できること。この戦術で釣れる魚は、完全なブラインドで釣るよりもアベレージサイズが良く、このことが青木プロに僅差での逆転優勝をもたらしたと言えます。JBの関係者の方も青木プロに関して「高性能魚探をカンペキに使いこなしている」と感服していました。

 リグはフリーリグやヘビダンがメインでしたが「とにかくいろいろやりました」とのこと。リールはいつものようにジリオンSV TW 1000XHL、ラインはスティーズフロロX'LINK 16lb.と18lb.が勝利に貢献しました。

 今回、比較的太いラインを使用したことについて青木プロは

「強いタックルでフルフッキングするのでこれらの太さを選びました。僕はアクションに支障がなければ、ラインは太ければ太いほどいいと思っています。それだけブレイクなどのトラブルが少ないからです。その点、スティーズフロロX'LINKは、太番手でもしなやかで、とても使いやすく、気に入っています」

 このように語ってくれました。

 青木プロには試合翌日に電話インタビューさせてもらったのですが、筆者が「凄いですねェ」と言うと、「いやそんなことないです。まだまだですよ」と返してくれました。この謙虚さも青木プロのストロングポイントでしょう。この先も激しい戦いが続きますが、きっと変らぬ活躍をしてくれることでしょう。

  • 山下尚輝プロは堂々3位入賞!!

 同じDAIWAチームの山下尚輝プロも3位入賞と立派な成績を収めて表彰台上の人となりました。

 1日目はリミットの5尾を揃えるもスコアが伸びず、1840gで15位発進。「10位ぐらいかなと思ったら15位。ちょっと焦りました」と2日目へ進みました。

thumbnail_2022.7.8.3.jpg

「釣り方は見つけていただけに1日目の15位発進は誤算」と山下プロ

 1日目のゲームに関しては少し悔いが残ったようです。というのも今大会は前述のようにエレキ戦だったので、上流から早めに下流へ移動した結果、魚を釣り残してしまった、というのです。

 この反省から2日目に上流を目指せばイージーに釣れ、単日4位の5尾・2542gをマーク。このスコアが山下プロを3位に押し上げたわけですが、「前日の200g(の魚)を入れ替えたかった。だとしたら優勝だったのに......」と悔しがっていました。

 山下プロの釣りはカバーフィッシングでリミットを揃えてからの岩盤シューティングがメイン。

「10パターンぐらい持っていましたが、タックルはパワーフィネスとベイトフィネスがメインでした。ソフトなカバーに対してパワーフィネスで1.3gのネコリグ。ゴージャスブッシュに対しては、ベイトフィネスの2.2gネコリグで練習からノーミスでキャッチできていて、試合の2日間でも10本近く手にすることができました。しかもノーミス。かなり信頼度が高いセッティングで、ブッシュの中で掛けても心配ゼロ。1日目の開始3投目でのキッカーサイズには痺れました」。このように詳しく解説してくれました。

thumbnail_2022.7.8.4.jpg

2日目は単日4位のウエイトを持ち込み3位まで順位を押し上げました

 山下尚輝プロも青木唯プロと同様、魚の動きを先読みして、岬やボトムの変化にリグを置いておき、ラインが走るのを待つという戦術を採っていました。

「水がクリアアップしていた(透明度が上がっていた)プラで魚の動きを把握することができ、試合に生かすことができました」と山下プロ。さすがに上位者は同じように高度な戦略を駆使するものだと感服しました。

山下プロのタックルシステムは以下のとおりです。

ROD: ブラックレーベルSG 681ML/MHFS

REEL:バリスティック FW LT2500S-CXH(SLPクイックドラグノブ)

LINE: UVF TATULA SENSOR×8+Si2 1号+スティーズフロロX'LINK 8lb.

SINKER:バザーズワームシンカーTGネイル1.8g

ROD:リベリオン671L+FB

REEL:アルファス AIR TW 8.6L

LINE:スティーズフロロX'LINK 8lb.

SINKER:バザーズワームシンカーTGネイル2.2g

 こうして話題も豊富に終了したJBマスターズ三瀬谷戦。最近のトーナメントではW.B.S.も含めてDAIWAのトーナメントジャージが表彰台でいい感じで目立っていますね。これからもますます活躍を期待せずにはいられません。