Ultimate 9月23日号

速報!

藤田京弥プロ、

B.A.S.S. エリート昇格決定

アメリカのB.A.S.S.トーナメントに参戦したDAIWAチームの藤田京弥プロはノーザンオープン最終戦で12位に入り、年間ランク2位! この結果、来期のエリート昇格が決定しました。日本人がオープン初年度の成績でトップカテゴリーに駒を進める。これは快挙としか表現しようがありません。

後日、詳しいレポートがアップされる予定ですので、乞うご期待!

 

特集

粘り抜いた3日間。

宮嶋駿介選手の戦い。

 

 JBトップ504SDGマリンカップ

 

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最終日のウェイインはSDGマリン横利根ベースで行われ、多彩なイベント等も開催されました。弊社もブースを展示いたしました

 

  • ゲームごとにヒーローが変るDAIWAチーム

 9月9日から11日までの3日間、利根川水系の霞ヶ浦全域、北利根川、常陸利根川、外浪逆浦という広大なエリアで開催されたJBトップ50第4戦。

初日の微風・ローライト、2日目の晴天爆風、最終日のローライト・強風という過酷な条件の下、参加選手は全員苦しい戦いを強いられたようですが、DAIWAチームの面々も死力を尽くして戦いました。

 結果、泉和摩、宮嶋駿介の両プロが決勝に進み、宮嶋プロが最終日単日5位の釣果を持ち込み11位に入りました。

 こう書くと平凡な結果という印象を持たれるかも知れませんが、選手の戦いぶりには、語り尽くせぬドラマというものが存在するのです。

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泉選手は3日間とも常陸利根川の護岸をヘビーキャロライナリグで攻めるという意表を衝いた作戦に出て初日2本1778gを持ち込み14位スタート。翌日も魚を持ち込み決勝に進みましたが、最終日は残念ながらノーフィッシュに終わりました

 

 バストーナメントにおいては、全員が「勝利」の二文字を見据えて戦いに挑みます。しかし、毎回勝てるチャンスに恵まれるわけではありません。当然、どうしてもうまくいかない試合もあるわけです。むしろ、そういう試合の方が多いでしょう。

 そんな時、選手はどうするのか。試合を投げるのか? そんなことはありません。ましてやトップ50は年間を見据えた戦い。A.O.Y.という栄冠を目指すのはもちろん、少しでも上のランクで1年を終わりたい。全員がそう願っているのです。

 ですからたとえ優勝や表彰台が絶望的な試合でも、なんとか魚を絞り出し、少しでも上位の成績で終りたいと最後の一投まで集中するわけです。

 今回の宮嶋駿介プロがその典型でした。3日間、集中力を切らさず上を目指して釣り続けたのです。そして11位という位置を確保した。年間ランクも上昇した。そんな意味では価値ある11位といえましょう。

もちろん、他のDAIWAメンバーも懸命な戦い振りを見せてくれましたが、この試合に関していえば宮嶋プロの粘りが結果に結びついた、といえます。

宮嶋プロは初日1本672gで33位スタート。ハッキリ言って出遅れです。しかし2日目は3本1734gで18位に上がり予選通過。そして最終日に3本1694gを持ち込み11位でフィニッシュ。日を追うごとに順位を上げて苦しい試合をしぶとくまとめたのです。まさに不屈の闘志でマクリを決めたといえましょう。

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最終日、単日5位のウェイトを持ち込んで11位まで順位を押し上げた宮嶋プロ

 

 

  • 「我ながら成長を感じた」初日

 宮嶋プロがメインエリアに指名したのは北利根川、常陸利根川入口、外浪逆浦。

初日はローライトだったのでフィーディングに差してくる魚を狙い、早いテンポでノーシンカーを撃って行く釣りを繰り広げました。プラでは外浪逆浦でいい感じの魚を見つけており、ローライトなら食ってくるという感触を得ていたようです。キーワードは風裏のドックや葦。

そんなエリアの水深30cmのシャローをフォールさせて手数で勝負するという、宮嶋プロ得意の釣りを繰り広げれば4バイト。しかしそのうち1本しか獲れず、前述のように33位スタートとなりました。

宮嶋プロは初日の結果に関して試合後、こう語っていました。

「やっぱりミスが響きましたね。4バイトのうち1本しか獲れなかったわけですから。これは痛いです。初日に釣ってこないと、表彰台はなかなか難しいですからね。現に今回も、結果論ですが初日に釣って来ていれば表彰台もありました。

こんな時、いつもはメンタルが崩壊してしまっていたんですが、今回は不思議と『よし、それなら巻き返してやろうじゃないか』と前向きになれたんですよね。これが二日目につながったといえます」

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最終日、帰着後の宮嶋プロ。魚を持っているので表情は明るい

 

晴天の2日目。宮嶋プロは夏っぽい釣りにシフト。自分が動かずに魚の動きに当てようと北利根川の一定のスポットにステイ。すると30分で4バイト。今回はそのうち3本の魚を確保し、単日8位の1734gを持ち込み、18位で予選を通過しました。

「初日のミスに腐らず前向きになれたこと、この点では我ながら成長を感じました」(宮嶋選手)

そして最終日。当初は2日目と同じ釣りを予定していましたが、意に反してローライトになってしまい、それではとフィーディング狙いにシフト。風が強かったので1.8gのダウンショットをチョイスして葦際にフォールさせれば、30分で3本! 「これは揃うぞ!」と強気になり、よりデカイ魚を求めてスピナーベイトなどの巻きのパターンも繰り広げましたがキャットの猛襲に遭い、やがて帰着時間に。

しかしこの日は単日5位の3本1964gを持ち込み、11位にランクアップして3日間を終えました。30人中13人がノーフィッシュに終わった最終日ですから、3本の魚を持ち返ったことは立派といえましょう。

まさに「最後の一投」まで諦めなかったことに対するご褒美です。

余談になるかも知れませんが、帰着からウェイインまでの間でとくに印象的だったのは、宮嶋プロが魚をとても大事に扱っていたこと。ウェイインバックに魚を入れる前、何度もフック飲みをチェックし、魚を入れる度にフタのジッパーを確実に締めていました。これは魚の逃亡を防ぐためです。最終日は3本の魚をウェイインバッグに入れましたが、1本ごとにその行為を繰り返していました。

そしてウェイイン前にもう一度フック飲みをチェックするという念の入れ方、釣った魚の貴重さがわかる行為でした。

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他の選手にもフックの飲みをチェックしてもらう宮嶋プロ

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ウェイイン直前にもう一度フック飲みをチェック

 

  • 粘りの釣りを助けたタックル 

 こうした厳しい試合では1本の魚の価値が倍増します。その場合、アングラーの技術がモノを言うのはもちろんですが、宮嶋プロは常にタックルの重要さを力説します。ルアーをプレゼンテーションして、アクションさせ、魚を掛けて獲る。その一連の行為においてアングラーの意志を忠実に反映させてくれるタックルがなければ、たとえキーパー1本でも獲るのは容易ではない、と言及します。 

 宮嶋プロは今回、10セット近いタックルを用意しましたが、メインに使ったのは以下の2システム。

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(ネコリグ用)

ROD: BLX SG 641L+FS

REEL: 15.ルビアス2506H

LINE: スティーズフロロ クロスリンク 4lb

SINKER:バザーズワームシンカーTG リーン0.9g

 

(ダウンショット用)

ROD:ブラックレーベルプラス 621ULXS

REEL: .ルビアスFCLT 2500S-XH

LINE: スティーズフロロ クロスリンク 4lb

SINKER:バザーズワームシンカーTG ペアーハリス止め1.8g

 

いずれもフィネスなリグの取り回しに抜群の能力を発揮するシステムで、宮嶋プロが全幅の信頼を寄せているものですが、今回とくに感じたのはラインの信頼性、そしてリールのドラグといいます。

 「2日目に掛けた魚が岩に潜られてしまったんですよ。そして全然出て来ない。『あーダメか。魚も外れちゃったか』と半ばあきらめました。しかし待っていたら出てきたんです。すかさずドラグを緩々にして慎重にやりとりしたら獲れました。驚いたのはラインの表面がザラザラだったにもかかわらず切れなかったこと。普通のラインなら間違いなく切れていたでしょう。よく耐えてくれました。サイズが良かっただけにこの1本には助けられました」

 宮嶋プロはこう語っていました。

 

  • 年間ランクもジワジワ上昇 

 第4戦を終えた時点の宮嶋選手の暫定年間ランキングは14位。初戦を終えた時点でのランクは36位でしたが第2戦で30位に上がり、第3戦で22位。そして今回14位まで押し上げたのです。

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最後の一投まで諦めなかった報いが11位という結果。年間ランクも上がりました

 「最終瀬の桧原湖ではベストを尽くします」

 表彰式も終わり帰路につく際、宮嶋プロは力強くこう語ってくれました。他のメンバーともども健闘を祈りたいと思います。

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こうして撮影に応じる時、選手は達成感に満ちるのです